研究の概略
日本語のテクスト(文章・談話,マルチモーダル・テクスト)を研究対象とし,これを記述・観察・理解しながら,テクスト・部分テクスト,文や発話を類型化することを基礎的な研究課題としています。
一般にテクストには,言語表現のみならず,動作,音楽,絵画,建築,都市など人間の表現活動の所産すべてを含み,それらの組み合わされたものもテクスト(マルチモーダル・テクスト)とみなし,記述・観察・理解の対象とします。
対象としたテクストの表現類型,テクストに見いだされる関係性,文体・話体(スタイル)などを解明し,モデルの構築を目指します。
言語学固有の研究だけでなく,文学や言語教育への応用に展開させることが可能です。
小説・物語など文学的なテクストやエッセイ,自然談話(おしゃべり)を楽しむことができる人に適性があります。
既存の特定の理論を前提にした研究は避けます。言語事実(データ)と言語学の基礎概念を重視します。
テクストを研究するとき,つぎのように,3つのレベルを想定します。3つのレベルは相互に関連しあい,また,各レベルで独立した指標や課題を設定することができます。
レベル 指標と課題 マクロのレベル テクスト・部分テクストの組織
テクスト・部分テクストの表現類型
テクスト・部分テクストの文化・社会・制度的な規定と理解,説明,モデル構築メゾのレベル 文や発話の意味・機能
文や発話の表現類型
文や発話の展開過程
文や発話相互の関係と類型
テクスト・部分テクストのまとまりの析出
テクスト・部分テクストのまとまりの類型化と説明,モデル構築マイクロのレベル 語の意味
統語的な範疇
文や発話相互の関係の類型化と説明,モデル構築