主要担当科目のシラバス
野村が担当した主な科目のシラバスを,新しいもののみ、記録として挙げておきます。同一名の科目は年度が異なります。



大学院
日本語学特論
Modern Japanese Linguistics

授業概要・目標

テーマ:「日本語のテクストにおける物語性と人称空間の研究」
到達目標:物語性と人称表現に着目することで日本語の心情や感情の表現を理解し,物語・小説,ポップカルチャー,自然談話を含む諸ジャンルの語りのテクストにおいて,人称空間がどのように想定されるか記述・分析する手順を習得する。 また,マルチモーダルの観点の導入を検討する。
概要:学習指導要領解説や言語学の諸文献に,しばしば「心情」「感情」などの語句が認められる。言語表現の概念的な意味やその運用は分析的に認知されやすいが,特に心の働きとしての「人物の心情」を具体的な表現から理解し対象化することには困難がともない,唯一の意味や効果を選択しにくい。
本講義は,人称の範疇 に着目し,心の働きの表現のしくみやそこに見いだされる人称の関係概念を検討し,受講者の調査と議論をつうじて任意のテクストを分析的にとらえる方法を各自が構築することを目的とする。
あわせて,マルチモーダルテクストの扱い方を検討する。分析対象は,物語・小説,絵本,ポップカルチャー,自然談話などから任意に選択する。
注意事項
授業中,議論への積極的な参加と問題提起を求める。
教室にノートパソコンを持参する必要がある。
分析のために,エディタ・コンコーダンサなどのソフトウェア(基本的にフリーウェア)のインストールが必要となるばあいがある。アプリケーションについては,野村のホームページなども参照する。使用方法は,授業で解説する。
コロナウイルス感染症対策として,Google Classroom,Zoom等を適宜使用する。
時間外の学習:指定した教科書・参考書類の検討とテクストの分析。
履修条件は特になし。
授業計画・内容
1 テクストを理解するための基礎概念                 
2 ナラトロジー(物語論),テクスト言語学の現状と課題
3 談話と自然な物語,マルチモーダルテクスト,トランステクストなどの概念  
4 テクストへの言及と語り
5 テクストの参加者
6 テクストにおける「心情」「感情」「心の働き」の表現
7 日本語のテクストを分析する方法
8 人称表現
9 人称と日常的および文学的なコミュニケーション
10 人称と感情・感覚形容詞文
11 視点・視線の仮定
12 時間・空間の表現
13 作者・語り手の仮定
14 主体・対象の中心性・周辺性
15 引用と話法 

成績評価の方法:

レポート(70%),授業中の議論への参加状況等(30%)
レポートの評価基準は下記のとおりとする。
S:講義内容への批判や評価を含む
A:講義内容との相関を明記している
B:データの記述・分析が正確に行われている
C:データの記述ができている
D:上記を満たしていない
研究倫理の原則に抵触すると判断されるばあい,単位を認定しない。

教科書・参考書
教科書
野村眞木夫(2014)『スタイルとしての人称―現代小説の人称空間―』おうふう
准教科書
『日本語学』(2021年春号 特集:ポップカルチャーの日本語)明治書院

参考書
石出靖雄(2016)『漱石テクストを対象とした語り言語の研究』明治書院
糸井通浩・半澤幹一編(2009)『日本語表現学を学ぶ人のために』世界思想社
伊藤守編(2006)『テレビニュースの社会学』世界思想社
大江三郎(1975)『日英語の比較研究―主観性をめぐって』南雲堂
工藤真由美(1995)『アスペクト・テンス体系とテクスト』ひつじ書房
佐久間まゆみ他編(1997)『文章・談話のしくみ』おうふう
鈴木康志(2005)『体験話法』大学書林
中村三春(2015)『フィクションの機構2』ひつじ書房
中村芳久・上原聡編(2016)『ラネカーの(間)主観性とその展開』開拓社
西田谷洋(2014)『テクストの修辞学』翰林書房
西田谷洋(2006)『認知物語論とは何か?』ひつじ書房
野村眞木夫(2000)『日本語のテクスト―関係・効果・様相―』ひつじ書房
福沢将樹(2015)『ナラトロジーの言語学』ひつじ書房
藤井貞和(2004)『物語理論講義』東京大学出版会
藤本朝巳(2007)『絵本のしくみを考える』日本エディタースクール出版部
南不二男(1993)『現代日本語文法の輪郭』大修館書店
Clark, Herbert H. (1996)Using Language (English Edition). Cambridge U. P.
Fludernik, M. (1996) Towards a 'Natural' Narratology. Routledge.
Fludernik, M. (2006) An Introduction to Narratology. Routledge.
Genette, G. (1972) Narrative Discourse. tr. by Lewin, J. E. Cornell University Press.
Jewitt, C. ed. (2014) The Routledge Handbook of Multimodal Analysis (Second Edition). Routledge.
Kress, G. (2010) Multimodality : A Social Semiotic Approach to Contemporary Communication. Routledge.
Noergaard, N. (2019) Multimodal Stylistics of the Novel: More than Words. Routledge.
Page, Ruth. ed. (2010) New Perspectives on Narrative and Multimodality. Routledge.
その他教室で指定する。



大学院
国語学特論C
Japanese Linguistics C


授業概要・目標

テーマ:「日本語のテクストにおける人称表現と人称空間の研究」
到達目標:人称表現に着目することで日本語の心情や感情の表現を理解し,文学作品・学習材等のテクストにおいて人称空間がどのように想定されるかを記述・分析する手順を習得する。  
現行の学習指導要領およびその解説に,しばしば「心情」「感情」などの語句が認められる。言語表現の概念的な意味やその運用は分析的に認知されやすいが, 特に心の働きとしての「人物の心情」を具体的な表現から理解し対象化することには困難がともない,唯一の意味や効果を選択しにくい。本講義は,人称の範疇 に着目し,心の働きの表現のしくみやそこに見いだされる人称の関係概念を検討し,受講者の議論をつうじて任意の学習材や多様なテクストを分析的にとらえる 方法を各自が構築することを目的とする。  

注意事項

授業中,議論への積極的な参加と問題提起を求める。  
時間外の学習:指定した教科書・参考書の検討とテクスト(文学作品)の分析。

授業計画・内容

1 「心情」「感情」「心の働き」の表現と「人称」の概念
2 人称の理解
3 4人称・5人称など
4 文学研究における人称概念
5 日本語における人称制限の発見
6 人称制限にかかわる範疇
7 視点の概念
8 話法の概念
9 人称の観点からとらえる文学表現
10 人称と文学的なコミュニケーション
11 1人称小説・2人称小説・3人称小説の類型
12 テクストの参加者
13 テクストへの言及と語り
14 2人称小説の特性
15 日本語の小説における人称空間

成績評価の方法

レポート,出席状況,授業への参加状況を総合して評価する。
レポートの評価基準は下記のとおりとする。
S:講義内容への批判や評価を含む
A:講義内容との相関を明記している
B:データの記述・分析が正確に行われている
C:データの記述ができている
D:上記を満たしていない  

教科書・参考書

教科書
野村眞木夫(2014)『スタイルとしての人称―現代小説の人称空間―』おうふう
参考書
石出靖雄(2016)『漱石テクストを対象とした語り言語の研究―『三四郎』『道草』を中心に―』明治書院
福沢将樹(2015)『ナラトロジーの言語学』ひつじ書房
中村三春(2015)『フィクションの機構2』ひつじ書房
西田谷洋(2014)『テクストの修辞学』翰林書房
西田谷洋(2006)『認知物語論とは何か?』ひつじ書房
藤井貞和(2004)『物語理論講義』東京大学出版会
野村眞木夫(2000)『日本語のテクスト―関係・効果・様相―』ひつじ書房
佐久間まゆみ他編(1997)『文章・談話のしくみ』おうふう
工藤真由美(1995)『アスペクト・テンス体系とテクスト』ひつじ書房
南不二男(1993)『現代日本語文法の輪郭』大修館書店
大江三郎(1975)『日英語の比較研究―主観性をめぐって』南雲堂
その他教室で指定する。

大学院
国語学特論C
Japanese Linguistics C

授業概要・目標

テーマ:「日本語のテクスト(文章・談話・文体)の研究とマルチモダリティの考え方のこころみ」
現代日本語のテクスト,すなわち文章や談話を研究対象とし,これをコミュニケーションのなかでどのように対象化することができるかを検討する。コミュニ ケーションとテクスト,談話,物語などのシステム論的なとらえかたの可能性を整理し,コミュニケーションの参加者・コミュニケーションの観察者・テクスト の参加者などの位置づけを考察する。これらを基礎として,テクストにおける関係性と組織性がどのようとらえられるのか,具体的なテクストに即して分析し, 理論的な仮説の有効性をさぐる。具体的なテクストとしては,自然談話,教室談話,説明的表現,文学的表現などをとりあげ,マルチモダリティの考え方を導入 する。

授業計画・内容

1 テクストとは何か : テクスト言語学の領域設定(この授業の目的)
2 テクスト言語学の現状と問題点
3 文章論・談話論の現状と問題点
4 構造的,機能的,状況的アプローチからマルチモダリティの考え方まで
5 テクストを理解するための基礎概念 
6 日本語の文学テクスト分析の可能性
7 日本語のテクストにおける人称の諸問題 
8 人称の観点からとらえた日本語のスタイル 
9 マルチモーダルテクストの記述の可能性
10 マルチモーダルテクストの表現過程と理解過程 
11 マルチモーダルテクストとしての物語の理解
12 マルチモーダルテクストの空間的資源と時間的資源
13 マルチモーダルテクストの具体的な記述
14 テクスト言語学のシステム理論による整理 
15 前途瞥見

成績評価の方法

出席状況,レポートによる。

教科書・参考書

野村眞木夫(2000)『日本語のテクスト -関係・効果・様相-』ひつじ書房
糸井通浩(2009)『日本語表現学を学ぶ人のために』世界思想社
南不二男(1974)『現代日本語の構造』大修館書店
南不二男(1993)『現代日本語文法の輪郭』大修館書店
林 四郎(1973)『文の姿勢の研究』明治図書
時枝誠記(1941)『国語学原論』岩波書店
北原保雄監修(2003)『朝倉日本語講座 7 文章・談話』朝倉書店
佐久間まゆみ他編(1997)『文章・談話のしくみ』おうふう
寺村秀夫他編(1990)『ケーススタディ 日本語の文章・談話』おうふう
Fludernik, M. (2006) An Introduction to Narratology. Routledge.
Kress,G. and van Leeuwen, T. (2001)Multimodal Discourse.Hodder Education.
Kress, G. (2010) Multimodality : A social semiotic approach to contemporary communication. Routledge.
Page, R. ed. (2010)New Perspective on Narrative and Multimodality. Routledge.
その他,教室で紹介する。


大学院
日本語学演習
Seminar on Modern Japanese Linguistics

授業概要・目標

テーマ:「日本語のテクストにおける物語性とマルチモダリティ」
到達目標:ナラトロジー(物語論)の現段階での到達点を理解し,これをポップカルチャー類を含むテクストに適用しながら,テクストにマルチモーダルな性質を仮定し,理論的な検討と問題の所在を明確にして応用する能力を習得する。役割語・キャラクターの概念も理解する。
概要:マルチモーダルテクストにおいて,マルチモダリティがどのように機能しており,テクストを組織化しているのか,さし絵入りの書物,絵本,ポップカルチャー類の日本語に仮説を想定しながら,分析を加える。役割語,キャラクター化についても目配りをする。受講者一人一人の関心に従った仮説と問題設定を行う。

注意事項

授業への積極的な参加と問題提起を求める。発表時の資料は発表者がプリントすること。
時間外の作業として,指定した教科書・参考書の検討と具体的なテクスト(小説,物語,ポップカルチャーのテクスト等)の分析を求める。
分析のために,エディタ・コンコーダンサなどのソフトウェア(基本的にフリーウェア)のインストールが必要となるばあいがある。

授業計画・内容

1 テクスト言語学の現状と課題
2 マルチモダリティとは
3 マルチモーダルテクストとは
4 マルチモーダルテクストとしての絵本
5 絵本のレイアウトとマルチモダリティ
6 ポップカルチャーのテクストの認定
7 ポップカルチャーの日本語を記述する観点(語り・役割・キャラクター)
8 マルチモーダルテクストを記述する可能性(言語・画像・ジャンル)
9 分析対象とするテクストの決定と分析作業
10 マルチモーダルテクストの表現過程と理解過程
11 マルチモーダルテクストの空間的資源と時間的資源
12 マルチモーダルリテラシーとマルチモーダル-コミュニケーション 
13 マルチモダリティの概念の有効性・射程の検討
14 発表:テクストの選択・分析の方針(随時実施する)
15 発表:テクストの分析と選択・分析と検討(随時実施する)


成績評価の方法

レポート(50%),課題の発表・議論(50%)
レポートの評価基準は下記のとおりとする。
S:データの記述・分析に基づいて新たな知見や仮説を提案している
A:データの記述・分析に新たな工夫が施され正確に現象を取り出している
B:データの記述・分析が正確に行われている
C:データの記述ができている
D:上記を満たしていない
研究倫理の原則に抵触すると判断されるばあい,単位を認定しない。

教科書・参考書

教科書
『日本語学(特集:ポップカルチャーの日本語)』2021年3月春号 明治書院 \3,410(電子版あり,本学図書館購入済)
参考書
出原健一(2021)『マンガ学からの言語研究』ひつじ書房
金水敏 編(2014)『〈役割語〉小辞典』研究社
メイナード,S. K.(2008)『マルチジャンル談話論―間ジャンル性と意味の創造』くろしお出版
メイナード,S. K.(2012)『ライトノベル表現論―会話・創造・遊びのディスコースの考察』明治書院
野村眞木夫(2000)『日本語のテクスト―関係・効果・様相―』ひつじ書房
定延利之(2016)『コミュニケーションへの言語的接近』ひつじ書房
Genette, G. (1972) Narrative Discourse: An Essay in Method. tr. by Lewin, J. E. Cornell University Press.
Kress, G. (2010) Multimodality: A social semiotic approach to contemporary communication. Routledge.
Kress, G. and van Leeuwen, T. (2001) Multimodal Discourse: The Modes and Media of Contemporary Communication. Hodder Arnold.
Kress, G. and van Leeuwen, T. (2021) Reading Images: The Grammar of Visual Design(Third Edition). Routledge.
Nørgaard, N. (2019)Multimodal Stylistics of the Novel: More than Words(Routledge Studies in Multimodality). Routledge.
Page, R. (2010) New Perspectives on Narrative and Multimodality (Routledge Studies in Multimodality). Routledge.
その他教室で指定する。


大学院
日本語学演習
Seminar on Modern Japanese Linguistics

授業概要・目標

テーマ:「日本語のテクスト(文章・談話)における物語性とマルチモーダルコミュニケーションの分析」
到達目標:ナラトロジー(物語論)の現段階での到達点を理解し,これを具体的なテクストに適用しながら,テクストにマルチモーダルな性質を仮定しながら,理論的な検討と問題の所在を明確にして応用する能力を習得する。
概要:文章(マルチモーダルテクストを含む)と談話において,マルチモダリティがどのように具体化しており,テクストを組織化しているのか,さし絵入りの書物,絵本,各種談話に仮説を適用する可能性を想定しながら,具体的に分析を加え,検討する。
受講者一人一人の関心に従った問題設定を期待する。

注意事項

授業への積極的な参加と問題提起を求める。発表時の資料は発表者がプリントすること。
時間外の作業として,指定した教科書・参考書の検討と具体的なテクスト(小説,物語,談話)の分析を求める。
分析のために,エディタ・コンコーダンサなどのソフトウェア(基本的にフリーウェア)のインストールが必要となる。
録音・録画の作業が必要となるばあいがある。
日本語学特論を履修していることが望ましい。

授業計画・内容

1 談話分析・テクスト言語学の現状と課題
2 マルチモダリティとは
3 マルチモーダルテクスト
4 マルチモーダルテクストとしての絵本
5 レイアウトとマルチモダリティ
6 談話のマルチモダリティ・マルチモーダルコミュニケーション
7 談話分析の方法とトランスクリプションの方法
8 多人数インタラクションの記述の可能性
9 分析対象とするテクストの決定と分析作業
10 マルチモーダルテクストの表現過程と理解過程
11 マルチモーダルテクストの空間的資源と時間的資源
12 マルチモーダルリテラシーとマルチモーダルコミュニケーション 
13 マルチモダリティの概念の有効性・射程の検討
14 整理:談話のシステム
15 発表:テクストの分析と検討・学習材化の可能性(随時実施する)


成績評価の方法

レポート(50%),課題の発表・議論(50%)
レポートの評価基準は下記のとおりとする。
S:データの記述・分析に基づいて新たな知見や仮説を提案している
A:データの記述・分析に新たな工夫が施され正確に現象を取り出している
B:データの記述・分析が正確に行われている
C:データの記述ができている
D:上記を満たしていない
研究倫理の原則に抵触すると判断されるばあい,単位を認定しない。

教科書・参考書

教科書
高梨克也(2016)『基礎から分かる会話コミュニケーションの分析法』ナカニシヤ出版
参考書
糸井通浩・半澤幹一編(2009)『日本語表現学を学ぶ人のために』世界思想社
伊藤守編(2006)『テレビニュースの社会学―マルチモダリティ分析の実践』世界思想社
沖裕子(2006)『日本語談話論』和泉書院
串田・平本・林(2017)『会話分析入門』勁草書房
串田・定延・伝編(2005~2008)『シリーズ 文と発話 1・2・3』ひつじ書房
ザトラウスキー・ポリー (1993) 『日本語の談話の構造分析 -勧誘のストラテジーの考察-』くろしお出版
野村眞木夫(2014)『スタイルとしての人称―現代小説の人称空間―』おうふう
野村眞木夫(2000)『日本語のテクスト―関係・効果・様相―』ひつじ書房
坊農真弓・高梨克也(2009)『多人数インタラクションの分析手法』オーム社
村田和代・井出里咲子編 (2016) 『雑談の美学』ひつじ書房
メイナード,S. K. (1993)『会話分析』くろしお出版
Clark, Herbert H. (1996)Using Language (English Edition). Cambridge U. P.
Genette, G. (1972) Narrative Discourse: An Essay in Method. tr. by Lewin, J. E. Cornell University Press.
Kress, G. (2010) Multimodality : A social semiotic approach to contemporary communication. Routledge.
Kress, G. and van Leeuwen, T. (2001) Multimodal Discourse : The Modes and Media of Contemporary Communication. Hodder Arnold.
Sacks, H. (1992) Lectures on Conversation.ⅠⅡ.Blackwell.
その他教室で指定する。


大学院
国語学演習C
Seminar on Japanese Linguistics C

授業概要・目標

テーマ:「ナラトロジー(物語論)による日本語テクストの分析と言語主体にかかわる問題提起」
到達目標:ナラトロジー(物語論)の現段階での到達点を理解し,これを具体的なテクストに適用しながら,理論的な検討と問題の所在を明確にして応用する能力を習得する。
福沢将樹(2015)『ナラトロジーの言語学―表現主体の多様性―』(ひつじ書房)をペースメーカーとして,そこで仮定されている諸概念とモデルとを受講生の選択した具体的なテクストに適用しながら,提案された仮説の検討,応用の可能性の探究をはかりながら,問題を提起する。ナラトロジー(物語論)は,狭義の文学作品のみならず,舌耕文学や自然談話にも適用の可能性をもち,したがって多様な学習材を分析する方途としても有用性が認められる。受講者一人一人の関心に従った展開を期待する。

注意事項

授業への積極的な参加と問題提起を求める。発表時の資料は発表者がプリントすること。
時間外の作業として,指定した教科書・参考書の検討と具体的なテクスト(小説,物語,教科書教材を含む)の分析を求める。

授業計画・内容

1 ナラトロジー(物語論)の現状と課題
2 テクストとは何か
3 テクスト言語学の現状と課題
4 ナラトロジーの対象としてのテクスト
5 自然な物語という概念
6 言語主体:時枝誠記の言語過程説から観察概念とシステム概念へ
7 虚構という概念の言語的な基盤
8 体験話法(自由間接話法)の内在する問題
9 日本語に体験話法(自由間接話法)は仮定できるか
10 学習材への応用の可能性
11 発表(a):テクストの分析と検討・学習材化の可能性(随時実施する)
12 発表(b):テクストの分析と検討・学習材化の可能性(随時実施する)
13 発表(c):テクストの分析と検討・学習材化の可能性(随時実施する)
14 発表(d):テクストの分析と検討・学習材化の可能性(随時実施する)
15 発表(e):テクストの分析と検討・学習材化の可能性(随時実施する)

成績評価の方法

レポート,出席状況,授業への参加状況を総合して評価する。
レポートの評価基準は下記のとおりとする。
S:講義内容への批判や評価を含む
A:講義内容との相関を明記している
B:データの記述・分析が正確に行われている
C:データの記述ができている
D:上記を満たしていない  

レポートの内容に剽窃が認められたばあい,不正行為となる。

教科書・参考書

教科書
福沢将樹(2015)『ナラトロジーの言語学―表現主体の多様性―』ひつじ書房
参考書
石出靖雄(2016)『漱石テクストを対象とした語り言語の研究―『三四郎』『道草』を中心に―』明治書院
工藤真由美(1995)『アスペクト・テンス体系とテクスト』ひつじ書房
鈴木康志(2005)『体験話法』大学書林
中村三春(2015)『フィクションの機構2』ひつじ書房
西田谷洋(2014)『テクストの修辞学』翰林書房
西田谷洋(2006)『認知物語論とは何か?』ひつじ書房
野村眞木夫(2014)『スタイルとしての人称―現代小説の人称空間―』おうふう
野村眞木夫(2000)『日本語のテクスト―関係・効果・様相―』ひつじ書房
藤田保幸(2014)『引用研究史論―文法論としての日本語引用表現研究の展開をめぐって―』和泉書院

その他教室で指定する。


大学院
地域と伝統文化
(オムニバス形式:授業計画・内容は野村担当部分のみ)

授業概要・目標

   地域の歴史ある文化芸術の保存・継承について研究する。
   日本の文化や世界の文化を実践的な活動を取り入れ、文化理解教育に関わる総合的な学習カリキュラム開発を行う。

授業計画・内容 (野村の担当部分)

言語による文化Ⅰ(落語の構造「茶の湯」)
  寄席と高座
  茶の湯
  噺の舞台
  噺の構造・噺の出典
言語による文化Ⅱ(落語の素材と形成「野ざらし」)
  噺の舞台
  噺の構造・噺の出典
  俗曲等の出典
  長屋の生活と家賃
言語による文化Ⅲ(落語の中の短詩型文学「掛取萬歳」)
  噺の舞台
  噺の出典と注釈
  上水道・下水道
  時代設定と貨幣価値

配付資料
  (1)地域と伝統文化03
  (2)長屋の復元013
  (3)日本銀行金融研究所2017-貨幣博物館-お金の歴史
  (4)落語における短詩型文学07
  (5)守貞謾稿92345

【主要参考文献・資料】
  野村雅昭(1994)『落語の言語学』平凡社(ライブラリー版)
  野村雅昭(1996)『落語のレトリック』平凡社
  野村雅昭(2000)『落語の話術』平凡社
  延広真治(2011)『江戸落語 誕生と発展』講談社学術文庫
  延広真治,二村文人,中込重明(2002)『落語の鑑賞201』新書館
  東大落語会編(1994)『増補 落語事典』青蛙房
  武藤禎夫(1996)『江戸小咄類話事典』東京堂出版
  武藤禎夫(2007)『定本 落語三百題』岩波書店
  田中 敦(2017)『落語と歩く』岩波新書
  長井好弘(2013)『落語と川柳』白水社
  中込重明(2004)『落語の種あかし』岩波書店
  飯島友治,東大落語会編(1967~1980)『圓生全集』全9巻 青蛙房
  柳家小三治(2007~2018)『柳家小三治の落語』全9巻 小学館文庫
  宮尾與男訳注(2014)『醒睡笑全訳注』講談社学術文庫
  武藤,岡編(1975~1979)『噺本大系』全20巻 東京堂出版
  喜田川守貞(1853頃)『近世風俗志(守貞謾稿)』(1-5)岩波文庫
  喜多村筠庭(1830序)『嬉遊笑覧』(1-5)岩波文庫
  林陸朗他編(1987/1826~1829)『江戸町方書上 浅草 上・下』新人物往来社
  山沢英雄他編(1995)『川柳集成』岩波文庫
  井澤壽治編(2016)『座敷唄集成』東洋書院
  倉田喜弘編(2014)『江戸端唄集』岩波文庫
  倉田喜弘編(2016)『近代はやり唄集』岩波文庫
  潁原退蔵(2008)『江戸時代語辞典』角川グループパブリッシング
  大久保忠国・木下和子(1991)『江戸語辞典』東京堂出版
  前田 勇(1979)『江戸語の辞典』講談社学術文庫
  松村 明(1993)『江戸ことば・東京ことば辞典』講談社学術文庫
  岡本他編(1986)『近世文学研究事典』おうふう
  西山他編(1994)『江戸学事典』 弘文堂
  笠井俊彌(2001)『蕎麦 江戸の食文化』岩波書店
  竹内 誠(2010)『江戸社会史の研究』弘文堂
  戸沢行夫(2013)『江戸町人の生活空間』塙書房
  白石つとむ編(2002)『普及版 江戸切絵図と東京名所絵』小学館
  人文社編集部(2006)『切絵図・現代図で歩く江戸東京散歩』人文社
  大林組プロジェクトチーム(1982)「長屋の復元」『季刊大林』No.13(https://www.obayashi.co.jp/)
  人文学オープンデータ共同利用センター【江戸マップβ版】(http://codh.rois.ac.jp/)
  日本銀行金融研究所(https://www.imes.boj.or.jp/jp/about/about.html)⇒貨幣博物館(お金の歴史)
  『国語と国文学 特集:舌耕文芸研究』(1980.11)
  『文学増刊:円朝の世界』(2000.9)
      『国文学 解釈と鑑賞 特集:舌耕芸 落語誕生』(2003.4)
  『季刊大林 13「長屋」』(1982)https://www.obayashi.co.jp/kikan_obayashi/
  野村眞木夫 (2016)「落語における詩的表現類型」『上越教育大学国語研究』30. pp.112-124.
  (誤植訂正版 ⇒ https://researchmap.jp/read0022117)
  野村眞木夫 (2021)「話芸の表現―落語の語りにおける「自由さ」と「同じさ」―」『日本語学』40-1. pp. 48-57.



学部
国語学講読C
Japanese Linguistics C

授業概要・目標

テーマ:「古代日本語文法・現代日本語文法の理論的研究 」
古代と現代の日本語を対象とし,統語論・意味論のシステムを授業計画に示す複数の項目にわたって具体的に考察することを目的とする。
特に,理論的・体系的な内容を展開することで,中学校と高等学校までの国語教材(学習材)の分析と指導の基礎となることを意図する。文法的な事項の暗記ではなく,日本語にどのような言語現象があり,そこに具体的な用例としてどのようなものが観察されるのかを問題とする。現代日本語の用例の自然さに対する直観的な判 定,意味の理解と分析を通して,古代および現代日本語の体系的なありようを掌握する。
授業は,講義と議論,ショートテストの実施によって展開し,レポートを課す。   

履修条件・注意事項

高等学校で「古典」を履修しているか,それと同等の学力があること。
任意の古語辞典を準備すること。オンラインコーパス(少納言・中納言など)も使用する。

教科書は、出版事情等により,変更する可能性がある。
学則で規定された学修時間を前提とする。  

授業計画・内容

1 文法現象のとらえかた(この授業の目的と方法)
2 事態構造の認識と格関係のとらえかた
3 結合価の考えかたと文の構造
4 品詞認定の諸問題
5 形容詞と形容動詞の認定 
6 有題文と主題の概念 
7 無題文の意味
8 ヴォイス:直接受動
9 ヴォイス:間接受動
10 アスペクトと動詞の意味分類
11 テンスの構造
12 モダリティの表現形態 
13 条件の表現
14 理由・説明の表現
15 まとめ

試験

試験(ショートテスト)を毎時間実施する。
レポートの提出を課す。  

成績評価の方法

ショートテストへの解答、レポート提出および出席状況を総合して判定する。
ショートテストとレポートの得点は平均して評価するが,その両方,またはどちらかの得点が60点に満たない場合は,単位を認めないものとする。
ショートテスト(正解とする判断)の要件:次の1または2
 1.解答・説明により授業内容の理解が確認できる。
 2.解答・説明により言語現象の理解が確認できる。
レポートの要件:次の1または2
 1.課題に即した用例の収集と文法的な観点からの記述が確認できる。
 2.課題に即した文法的な観点からの分析が確認できる。
(1・2ともに漠然とした用例収集や,授業の主旨に関係しないものは低い評価とするか,評価の対象外とする。)
  A:要件1または2を満たしている。(特に優れているばあいSの評価とする)
  B:要件1または2に関与しているが,情報量が不足している。
  C:単なる用例収集と列挙。
  D:授業内容への関与が低い,または不明。
レポートの内容に剽窃が認められたばあい,不正行為となる。

教科書・参考書

教科書: 森山卓郎(2000)『ここからはじまる日本語文法』ひつじ書房
      プリントを併用する。
*教科書は、出版事情等により、変更する可能性がある。
参考書:寺村秀夫(1982~1991)『日本語のシンタクスと意味 ⅠⅡⅢ』くろしお出版
    益岡・ 田窪(1992)『基礎日本語文法  改訂版』くろしお出版
    寺村・鈴木他(1987)『ケーススタディ  日本語の文法』おうふ う
    小田勝(2007)『古代日本語文法』おうふう
    小田勝(2010)『古典文法詳説』おうふう  

オンラインコーパス:少納言,中納言,日本語用例検索
テキスト:青空文庫


学部
国語学演習C
Seminar on Japanese Linguistics C

授業概要・目標

テーマ:「人称表現に着目した心情・感情表現の認識と教材・学習材の分析・構築への応用と議論 」
人称表現に着目することで現代日本語の心情や感情の表現の多様性と構造・機能を理解し,教材・学習材等のテクストを分析・構築する能力を習得する。
パソコンによる用例の分析方法を習得する。
教科書の内容に対する賛否を議論・論証することをつうじてアクティビティを身につける。
現行の学習指導要領(中・高)では「心情」「感情」,次期指導要領の方向性では「感性・情緒の側面」が取りあげられ,「主体的」という語句も重視される。それらが,言語表現においてどのような根拠をもって認められるか,その着眼点と有効な分析概念を理解する。そのうえで,言語表現に関わる基礎概念が教材や学習材の分析・構築においてどのように運用・応用できるのかを具体的に理解し,各グループおよび各自の選択したテクストに適用して実証する。毎時間ワークショップ形式として展開し,コンコーダンサや正規表現による分析を行う。 ワークショップは【教科書の理解→問題提起(教科書の内容に対する賛否,実例の観察・分析)と検討→レポート作成】のサイクルで展開する。毎時間,グループ内の質疑を展開し,当日のワークショップの内容をもとに,毎時間各自のショートレポートを提出する。
講義全体の最終段階で,ワークショップを通じて得た各自のデータと問題意識に対応した総合的なレポートを提出する。

履修条件・注意事項

「国語学講読C」を履修しているか,それと同等の文法範疇の知識・理解があることが望ましい。  
指定された教科書と各グループおよび各自の選択した文芸作品を毎講義時間の事前準備として通読・記述しておくことが必要となる。毎時間,口頭発表・報告を課す。最終段階でもグループによる発表と個人のレポート提出を課す。
毎時間充電済みのノートパソコンを持参すること(用例収集と分析,レポート作成等に使用する)。
指定したサイトから,フリーソフトウェアやテキストファイル,資料類をダウンロードして使用する。
オンラインコーパス:少納言,中納言,日本語用例検索を使用する。  
履修者数に応じて授業の展開方法を変更するばあいがある。  

授業計画・内容

1 イントロダクション(ガイダンスとグループ分け)
2 学習指導要領における「心情」「感性」など
3 日本語における人称表現の理解
4 日本語における人称制限の現象
5 日本語における心情表現・心の働きの表現
6 小説・物語類における人称表現と言語的標識
7 小説・物語類における人称表現と心情・感情の表現
8 小説・物語類における人称表現と視点の概念
9 小説・物語類における人称表現と語り手・語り
10 小説・物語類における語り手と作中人物,その関係性
11 発表(a):テクストの分析結果・学習材化の可能性(随時実施する)
12 発表(b):テクストの分析結果・学習材化の可能性(随時実施する)
13 発表(c):テクストの分析結果・学習材化の可能性(随時実施する)
14 発表(d):テクストの分析結果・学習材化の可能性(随時実施する)
15 発表(e):テクストの分析結果・学習材化の可能性(随時実施する)

試験

各グループの発表および各自のレポートによる。各グループのワークショップの内容および各自のレポートによる。

成績評価の方法

出席状況,課題の発表,話し合いへの参加状況,各自のレポートを総合して評価する。
レポートの要件:次の1または2
1.課題に即した用例が収集されていることが確認できる。
2.課題に即した観点による用例の分析が確認できる。
(1・2ともに漠然とした用例収集や,課題の主旨に関係しないものは低い評価とするか,評価の対象外とする。)
A:要件1または2を満たしている。(特に優れているばあいSの評価とする)
B:要件1または2に関与しているが,情報量が不足している。
C:単なる用例収集と列挙。
D:授業内容への関与が低い,または不明。
レポートの内容に剽窃が認められたばあい,不正行為となる。 

教科書・参考書

教科書
野村眞木夫(2014)『スタイルとしての人称―現代小説の人称空間―』おうふう
参考書
石出靖雄(2016)『漱石テクストを対象とした語り言語の研究―『三四郎』『道草』を中心に―』明治書院
福沢将樹(2015)『ナラトロジーの言語学』ひつじ書房
西田谷洋(2014)『テクストの修辞学』翰林書房
西田谷洋(2006)『認知物語論とは何か?』ひつじ書房
藤井貞和(2004)『物語理論講義』東京大学出版会
佐久間まゆみ他編(1997)『文章・談話のしくみ』おうふう
南不二男(1993)『現代日本語文法の輪郭』大修館書店
オンラインコーパス:少納言,中納言,日本語用例検索
テキスト:青空文庫
その他教室で指定する。  


学部
国語学演習C
Seminar on Japanese Linguistics C

授業概要・目標

テーマ:「現代日本語の文章・談話コーパスの分析方法とその実際 」
 日本語の書き言葉(文章)または話し言葉(談話)を記述・分析する方法を修得することをとおして,中学校から高等学校までの学習材または教室談話(授業) 分析の能力を身につける。文字言語または音声言語の構造と機能を検討の対象とし,実際のデータに即した,きめ細かな考察をもとめる。文章・談話の資料は, 受講者がそれぞれ収集・記述し,分析の観点についても教科書の中から決定する。学習材分析と授業分析(プロトコル分析)等を行う際の基礎的な技術を習得す ることにも配慮する。  

履修条件・注意事項

演習として運営するため受講者数を制限する場合がある。または、受講者数に応じて授業計画・内容を変更することがありうる。グループでの活動となる可能性がある。
ソフトウェア,データのダウンロードは必要に応じて履修者が実行し,必要な消耗品は履修者が用意するものとする。
授業時間以外の活動として,コーパスの作成と分析,ハンドアウト作成,レポート作成などを課す。  
授業時間以外に長時間の作業が必要となるので,留意すること。
パソコンのOSはWindowsを前提とする。MacOSⅩのばあい,使用ソフトの動作が保証できない可能性がある。
VTR類,テープレコーダー類を使用するばあいがある。

授業計画・内容

1 文章・談話とその理解(この授業の目的) 
2 文章・談話とコーパスまたは電子化テキスト 
3 文章・談話の要素または単位
4 文章・談話の仕組み
5 文章・談話のまとまりかた
6 文章・談話資料を作成する技術・機材・ソフトウェアおよび倫理
7 文章・談話資料を分析する観点,諸問題 
8 文章・談話資料を分析する方法・分析ツール(KWIC)
9 文章・談話資料の収録(録音・録画)作業
10 トランスクリプション(文字化)の作業 
11 トランスクリプションのチェック
12 分析対象・観点の提示と予備的な分析およびその検討
13 資料の分析と記述の作業
14 分析の結果の提示(発表)とその検討・議論の展開
15 議論に基づく再検討とレポート提出

試験

口頭発表およびレポート提出による。

成績評価の方法

作業への参加状況,発表・質疑への参加状況,レポート,出席状況を総合して評価する。
授業展開がグループ作業になるばあいは,共通資料のレポートと個別資料のレポートの両方の作成と提出を義務づける。  
部活動等で欠席する場合は,顧問教員等の捺印がある書面を提出すること。

教科書・参考書

教科書:寺村秀夫他編(1990)『ケーススタディ 日本語の文章・談話』おうふう
参考書:佐久間まゆみ他編(1997)『文章・談話のしくみ』おうふう
    ザトラウスキー(1993)『日本語の談話の構造分析』くろしお出版
    北原保雄監修(2003)『朝倉日本語講座  7  文章・談話』朝倉書店
    糸井通裕他編(2009)『日本語表現学を学ぶ人のために』世界思想社  

学部
国語(書写を含む。)
Japanese (including Calligraphy)
オムニバス形式。野村は敬語の3分類と5分類などを中心に扱う。


学部
総合演習(ことばと社会)

*平成24年度で廃止

授業の到達目標およびテーマ

言語は社会の多様な局面において中軸をなしており,社会生活の基盤ともなっている。そうした言語と人間が,教室やそれをとりまく社会環境の中でどのように 関係しているかについて,演習形式の授業展開によって分析し,討論をかさねる。この過程で,言語と人間の社会・文化・認識・知覚・相互作用・表現行為との かかわりかたを共時的あるいは通時的に掌握する能力を養成する。

授業概要

 日本語・英語をはじめとする諸言語を検討の対象として取りあげ,それぞれの文字・語彙・地名・文法・言語教育・コミュニケーション等を多面的に考察する。

履修条件・注意事項

履修者の数を一定の規模に制約する可能性がある。
公欠となるばあいは,事前に関係教員等の署名・捺印等を受けて,書面で連絡をすること。  

授業計画・内容

1~15回
アイヌ語とアイヌの人たちの社会について考える。アイヌ語とはどのような言語か,アイヌ語の初歩,アイヌ語と日本語の地名等をトピックとして提示する。(野村) 
現在の世界の英語(World Englishes)について理解する。特に,オーストラリア英語の成り立ちや,ピジン英語,クレオールについて,世界各地の人々が話すそれぞれの英語を聞きながらそれぞれの特徴を知る。(北條)
私たちが使用する文字,特に「漢字」「ひらがな」の成立と変化について,時間的経過に加え,社会状況との関わりで考える。(押木) 
社会構成主義の立場から外国語教育について考える。特に,英語の指導におけるペアワークやグループワークを通して,社会性や人間性を重視した協同学習の手法を提示する。(大場)
日本語の特徴について,語彙の面から具体例をもとに考えていく。日常使っている言葉について関心を深めるために,若者言葉や略語など身近なテーマを取り上げて考察する。(中里)  
人間が使用している言語をコミュニケーションの手段と位置づけていいのか,そもそも言語を話したり,聞くことができるのはどうしてなのか,といったテーマ について,具体的な言語の使用例を基に検討したい。(野地)  

成績評価の方法

各教員の最初の授業時に評価方法が指示されるので,注意すること。
各教員が個別に評価し,これを集計して最終的な成績評価とする。  

教科書・参考書

教室で指示する。

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